狂歌 三話
いつだったっけな
幸せに手を伸ばすことを止めたのは。

そして、他人を憎んで 憎んで

幸せを壊す人になったのは


いつだったっけな














「結婚おめでとうございます!」

仲人だろうか。 
男が、満面の笑みで新郎と花嫁に祝福の言葉を贈る。

そこに居る人たちは幸せの真っ只中。
歓声が舞い、喜びに満ち溢れていた。

「・・・」

何も喋らず、ただだしゃくり上げる花嫁。
嬉涙だろうか。

「ついに・・・一緒になれたね。」

新郎は満面の笑みで花嫁の顔に口付けをして言った。
少しだけ、新郎も目が潤んでいる。

「うん・・・」

俯いたまま、少し泣き声で新郎にそう言った。
そして新郎にピタリとくっつく。

「おまえら本当に仲良いな〜 中学生からなんてな。」

「うるせえなぁ・・・」

外野からの冷やかしを新郎は五月蝿そうに退けると、自分も花嫁の腕を持った。
その直後、更に外部からの冷やかしは強まった。

「ヒュー! おあついねえ!」

ニヤニヤと嫌味な笑みを浮かべ、新郎をからかう友人。
最高の宴に、最高の友人。
新郎は自分の幸せを感じずには居られなかった。






だが






そこには"彼"が居た。







「君らを見てると、虫唾が走るようだよ。」



冷たく笑って呟いた後、彼は手元のボタンを押した。






式場は一瞬、光に包まれた。


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